5 伝令、ひとつの空の下
ヴィダは投げ捨ててしまった得物の片割れをうーから受け取り、それを揃えていつもの位置にしまって、さて、と呟きながら腰に手を置きテントの方に目をやった。 そのままジェノバにいろいろ尋ねれば、拗ねたような声ではあるものの返答はそれなりに返ってき…
10章 月色相冠小説,月色相冠
4 砂煙の向こう
背中に馬乗りのフリッガを振り返りながら、キュルビスは何か言った。フリッガは眉間に皺を寄せ、立ち上がるとキュルビスを引き上げた。 後ろ手に縛られたままの彼の衣服は、倒されたときに土で汚れている。それでも、その地位を表す四本のラインで裾を飾ら…
10章 月色相冠小説,月色相冠
3 再び竜の舞う日
「さて、どうするね。ナイト=シュッツ・コンベルサティオ、いや。コンベルサティオ卿」 キュルビスは両脇に軍人を、背後に弓兵を従えて、片足を投げ出すように姿勢を崩し、腕組みをしながら言った。 デュートが隣を見ると、彼は相変わらずどうでもいいとい…
10章 月色相冠小説,月色相冠
2 愛国者たち
デュートは室内を見渡した。 議員が辞して、今残っているのは軍の関係者だけである。そして取り囲まれるように立っている、女王である彼女が名前を授けたナイトであるはずの彼の、今の立場は被疑者だ。 デュートから近い位置に陣取っていたキュルビスが一…
10章 月色相冠小説,月色相冠
1 蛇と狼
議員からいくつかなされた質問に淡々と答え終えて、フリッガは女王に一礼し謁見室を辞した。 これからすることは決まっている。元来た方へ足を踏み出すと、今閉じられたばかりの背後の扉がまた軋んだ音を立て、フリッガは思わず振り返った。 先ほど彼女に…
10章 月色相冠小説,月色相冠
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サプレマに続いて入室した彼は、前回会ったときよりも少し痩せたように思いました。形どおりの労いの言葉をかけてから、サプレマから報告を受けました。残念ながらフリューゲルに至ることはできなかったこと。その理由も端的に。サプレマの声を聞きながらも私…
10章 月色相冠小説,月色相冠