5章

7 「ARIA何食べるの?」

 それからしばらく、ライブラリの周りは平和だった——少なくとも、見える範囲では。 最初は報告書のセンセーショナルな部分のみが注目を浴び、「生体兵器」に関与していたと批判を受けたグレイは、やがて全体の検討が進むと今度は「生体部分への関与を避け…

6 「すこぶる快適です」

 同席者として名前と所属を述べたのは四名。そのうちグレイの取引先の所属はひとりということで、残りの構成でセドリックはこの面談のだいたいの目的を察した。まだ彼らは獲得しにきたわけではない。試しにきただけだ。 グレイが手元の付箋紙にさらさらと文…

5 「そうだな。そうしたい」

 グレイとセドリックは少し話して、それからセドリックはひとりで考えて、最後にライブラリに確認をとって、その申出を受けることにした。 セドリックの見た目が変わらなくなってから二十年くらいになる。今、グレイはセドリックとほぼ同年代(ともすると、…

4 「数日休もう」

 それから約四年が経った。 リブラリア社は医療機関に提供していたケースリンクを、介護分野と教育分野にも進出させた。現場対応に忙殺されて施設をまたいだ連携や情報共有が十分でなかった施設や学校は、こぞって事例を共有した。今では「ケースリンクが導…

3 「不満?」

 セドリックにケースリンクの成功について報告したあと、マーカスはグレイと話し、ARIAを使ったサービスを会社として独立させることにした。「社名は|Libraria《リブラリア》にしたよ」と、マーカスは楽しげに電話してきた。「ARIAは正解を…

2 「ヘソを曲げますので」

 マーキュリー・アンド・パートナーズ、「M&P」の設立は、マーカスが(マーカスを通じたセドリックが、でもある)グレイの会社の支援を始めてから約十年後のことだ。 その翌年、グループの中核であるグレイの会社は、オリバーの発案で開発した中小の医療…

1 「我々の特技は」

 ライブラリのメールアドレスには、相変わらずさまざまなところから助けを求める連絡が来ている。彼はその中身を見、必要なものには返事をし、必要ないものにも一応返事はした。ここでいう「必要」とは、彼にとってどうかではなく、相手にとって彼が役に立つ…