5章

 二日間の不在後、セドリックは何でもない顔をして、仕事に戻った。 溜まった仕事を片付けると、彼は人事に異動願いを出した。理由は「一身上の都合」。希望の移動先は、ルカの図書館の傍の警察署だった。 朝、ルカがいつものとおり図書館に出勤する。エリ…

 約束通りセドリックは二日間、職場からの連絡に一切応えなかった。 緊急時用に常に電源を入れてある通信端末の不在着信にも返事はない。メッセージも既読にならない。

 セドリックはその前日、全ての引き継ぎを終え、リアムに「明日から二日間は一切の連絡に応じられない」と念を押して帰宅した。リアムは豆鉄砲を食らった鳩のような顔をしていたが、セドリックはそれ以上のフォローは何もしなかった。 翌日、落ち着かない午…

 落ち着かない時間をやり過ごし、セドリックは予約の時間の十分前に図書館に戻った。 カウンターにはエリーがいて、セドリックを見るとレファレンスコーナーのほうを指差してくれた。ルカは彼女にセドリックの予約を知らせていたらしい。 セドリックはエリ…

 不意にルカがカウンターに手をついて立ち上がった。セドリックが振り返ると、後ろには本を三冊重ねて持った利用者が立っている。セドリックも立ち上がると、その利用者に頭を下げてカウンターを離れた。 少し離れた閲覧席に陣取って、ルカが貸し出し手続き…

「図書館ではない?」 セドリックが繰り返すと、ルカは頷くこともなく周りを見渡し、それからふたたび前を向いてセドリックを見た。「図書館のほかに、書庫、蔵書、コレクションなどの意味があります。文脈から限定ができない以上は一度、全ての可能性を検討…