終 あとがき
アリスは、高校に入ったあと始めた古書店でのアルバイトでちょっとずつ貯めたお金を使って、ノーチラスでペンダントをオーダーした。 ネモ店長は、アリスの伝えたモチーフからさらさらとスケッチを描いて、こんな感じでどうかな、と見せてきた。予算の都合…
アリス・シュミットとタイトルのない本アリスと本,小説
25 沼、お仕事、クラムチャウダー
アリスはカウンターに戻ると鞄を受け取り、ミラに調べたいことを伝えてメモを受け取った。 書かれた棚番号のあたりには世界のいろんな場所の文化に関する本が並んでいた。写真やイラストが多いものが目を引いたけど、民族衣装の歴史や、その地域でどうして…
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24 ネイル、カバー、急勾配
その日のカウンターには、マーゴとミラが並んでいた。ふたりは本に透明のカバーを貼りながら静かな声でおしゃべりをしていたけど、アリスに気がついたマーゴは手をとめて「おはよう」と言った。 アリスはその場からあいさつを返しながらカウンターに近づき…
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23 ルカ、アリス、それから誰か(2)
広い通り沿いは、ノーチラスがあった商店街みたいな小さなお店じゃなくて、大きいスーパーとか電気屋さんとか、レストランとかが並んでいる。歩道もわりと広くて、車道との間にはちゃんとガードレールがあって、落ち着いて歩けるはずなのに、ノーチラスの前…
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22 ルカ、アリス、それから誰か(1)
何も言わないルカの前で少し店長とおしゃべりをしたあと、アリスはさていよいよ本のことを紹介しようと思ったけれども、ちょうどそのタイミングでルカが立ち上がったので、店長には慌てて本のタイトルだけを伝えた。「読んでみてほしいんです。今日、わたし…
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21 ドアベル、カップ、預かりもの
ミラが「童話集」と言った本(そしてそれはタイトルどおりでもある)は、アリスからはあんまり「童話」だとは思えなかった。話がなんだかとても尻切れとんぼだったり、すっきりしなかったり、納得できなかったりしたので。 あの面白い本を書いた作者は、ど…
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20 たからもの、別れ、幼なじみ
その話の続きはこうだ。 骨董品店の店長は、きっと酔っ払いのいたずらで、きれいな石もガラスか何かだと思ったらしい。話の種にはなるからと、石のひとつをポケットに入れ、お昼ごはんを食べに出た。お店にいたらいいなと思っていた幼なじみがちょうどいた…
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19 嵐、詐欺師、沈没船
読み終えた本を持って図書館に行ったら、メイユールさんが迎えてくれた。今年に入ってからメイユールさんに会うのは初めてだったので、アリスはちゃんと新年のあいさつをしてから返却する本を渡した。 メイユールさんの今日の爪は、薄紫とクリーム色みたい…
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18 ケーキ、紅茶、マーマレード
ワタライのお土産はキャロットケーキだった。ネモ店長はそれをパウンドケーキみたいに切って、少しずらして重ねた上にクリームを載せて出してくれた。 だからか、今日の紅茶はこの間みたいな甘い匂いはしていない。独特の匂いがする、これはアールグレイだ…
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17 ラジオ、古書店、蔵書票
その晩ミルヤはアリスのお母さんたちの押しに負けて、アリスの家で夕飯を食べた。 ミルヤが帰ったあと、アリスは部屋に戻り、鞄からミルヤのくれたしおりを取り出した。エリオットの靴と同じ革。この部屋みたいに薄暗いままの場所だと黒にしか見えないから…
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16 舞台、主役、スタートライン
ミルヤの親戚が出演した劇は、アリスも読んでいるあの話の中のエピソードのひとつを取り出したものだったけど、細かいところはアリスが覚えていたのとはいろいろ違った。 ミルヤが作った靴も、ちゃんと見られた。エリオットはその話の中では主役ではなくて…
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15 電話、休日、革のしおり
アリスは帰宅すると早速エスターの部屋に行き、ミルヤのことを話した。お母さんたち、とは言ったけれども、今日はふたりともまだ仕事から帰ってきていないので。 エスターは、そうねえ、じゃあ、と言って、早速ミルヤに電話してくれた。 アリスはエスター…
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